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Jトラスト株式会社(以下、「JT」といいます。)とNexus Bank株式会社(以下、「NB」といい、JTとNBを総称して「両社」といいます。)は、本日開催の両社の取締役会において、JTを株式交換完全親会社、NBを株式交換完全子会社とする株式交換(以下、「本株式交換」といいます。)を実施することにつき決議し、両社間で株式交換契約(以下、「本株式交換契約」といいます。)を締結いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
本株式交換につきましては、NBは、2022年3月15日開催予定の定時株主総会の決議による承認(特別決議)を受けた上で、2022年4月1日を効力発生日として行うことを予定しています。なお、JTは、会社法第796条第2項の規定に基づき、株主総会の承認を必要としない簡易株式交換の手続により、本株式交換を行う予定であります。
また、本株式交換の効力発生日(2022年4月1日予定)に先立ち、NBの普通株式は、株式会社東京証券取引所(以下、「東京証券取引所」といいます。)JASDAQグロース市場において、2022年3月30日付で上場廃止(最終売買日は2022年3月29日)となる予定です。
記
1.本株式交換の目的
JT及びJT連結子会社(以下、総称して「JTグループ」といいます。)は、『既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指す』のビジョンのもと、銀行業、債権買取回収事業を中核とする総合金融サービスを提供することを目指しています。日本金融事業を安定的な利益基盤とし、日本で培った審査力・回収力やマーケティング力などのオペレーション・ノウハウを韓国及びモンゴルや、インドネシアを中心とする東南アジアで展開することで、アジア地域における経営基盤を拡大してきました。
なお、現在のJTグループの事業セグメントは、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業、投資事業及びその他の事業で構成しております。
一方、NB及びNB連結子会社(以下、総称して「NBグループ」といいます。)は、『「人の想い」と「お金」をつなぎ新しい世界を創ること』を目指し、既存事業である「韓国貯蓄銀行業」「キャッシュレスサービス」「ITソリューション」に加え、「スタートアップ」「エンタメ・コンテンツ」「日韓ビジネス」をテーマとした新たな事業領域の開拓に向けた投資活動を進めていくことを事業方針(以下、「6つの事業領域の成長戦略」といいます。)としております。
なお、現在のNBグループの事業セグメントは、Fintech事業、ITソリューション事業及びその他の事業で構成しております。
JTグループとNBグループにおいては、2020年9月23日付で両社からお知らせいたしましたとおり、NB(当時の商号 SAMURAI&J PARTNERS株式会社)を株式交換完全親会社、当時、JTの連結子会社であったJトラストカード株式会社(現商号 Nexus Card株式会社)を株式交換完全子会社とする株式交換(以下、「2020年株式交換」といいます。)を行い、2020年株式交換を通じて、JTは、NBのA種優先株式(以下、「本A種優先株式」といいます。)1,699,140株を取得いたしました。
2020年株式交換は、NBグループとしては、4期連続で赤字業績が続いており、早急に経営基盤を強固にすることが重要な経営課題の一つとなっていた中で、NBグループにとって事業領域の拡大チャンスとなり、また、Fintech事業におけるシナジー効果への期待と収益基盤の強化が図れるものと考え2020年株式交換の案をJTへ提案いたしました。
一方、JTグループとしては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により世界各国で経済環境が急変し、先行き不透明感が増している中、JTグループにおいて、各国の政治や経済の情勢、事業の収益性などを個別に精査し、事業環境が大きく変化する「ウィズコロナ」の経済に最適化した、必要な時に必要なだけの手元流動性の確保と将来に亘っての収益性のバランスに配慮した事業ポートフォリオの再編を模索する必要があると考えていた中で、JTとして、2020年株式交換のスキームが、手元流動性の確保と収益性のバランスに配慮した事業ポートフォリオの再編に資するものと考え、種類株式による株式交換というNBからの提案に応じることとして、実施に至ったものであります。
なお、2020年株式交換に伴い、NBは合併等による実質的存続性の喪失に係る猶予期間(2020年11月1日から2023年12月31日まで)(以下、「本猶予期間」といいます。)に入り、現時点で本猶予期間は解除されておりません。
2020年株式交換の実施後、JTは、その目的であった事業ポートフォリオ再編の一環として、本A種優先株式の転換によって取得したNBの普通株式や、2020年株式交換の実施前よりJTが保有していたNBの新株予約権の売却処分を行いました。しかしながら、NBの株価の低迷等、市場環境によるところもあり、NBの普通株式あるいはA種優先株式の売却処分は停滞し、投資収益及びキャッシュフロー獲得等、JTとして期待していた効果には遠い状況となっておりました。NBが本猶予期間に入ってから既に1年が経過する中で、JTとしても、その大きな資産であるNBの有価証券が、2020年株式交換の本来の目的である手元流動性の確保と収益性のバランスに配慮した事業ポートフォリオの再編、ひいてはJTの企業価値向上に資するものとなっていない状況を看過することはできず、どのようにして、JTグループとしてより一層企業価値向上に資するものとしていくかが課題となっておりました。
一方、NBは、2020年株式交換により業績改善という目的は達せられたものの、本猶予期間解消に向け、東京証券取引所が公表している18社(2021年12月1日現在)の中から主幹事証券会社の選定が必須となりますが、未だに証券会社の決定に至っておりません。
NBとしては、2020年株式交換前から証券会社への打診を開始するのと同時に、不採算事業の売却、持株会社体制への移行、専門人材の採用・育成、外部専門家の活用などの経営基盤の強化に向けた取組みを積極的に進めておりました。
しかしながら、主幹事証券会社の選定においては厳しい状況(約7割に打診済)であり、この状況下では新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査を受けるための手続きが進まないまま本猶予期間が満了する懸念が高まっておりました。
そのほか、NBの会計監査人においても昨今の外部環境の変化により、韓国銀行子会社の監査の重要性が高まっていることに伴い、品質維持ができないという理由で監査契約継続に消極的な姿勢を示しており、NBと会計監査人との間で協議中の状況であります。NBは上記協議と並行して、大手監査法人を中心に複数の監査法人に監査の引受けの打診を行いましたが、時間的制約もあり厳しい状況となっております。
そうした状況の下、JTは、2021年8月にはNBの主幹事証券会社の選定において厳しい状況であることについて、また、2021年10月にはNBの会計監査人の監査契約継続に消極的な状況であることについて、NBより知らされるところとなりました。JTとしても、NBの上場廃止の懸念が高まっており、JTが保有するNBの有価証券について、長い時間をかけて処分していけばよい状況ではなくなっていると認識するに至りました。
JTとしては、最悪の事態として仮にNBが上場廃止となったとしても、その場合には、A種優先株式の発行要項に定める転換制限が失効し、保有するA種優先株式の全量を普通株式に転換してNBを連結子会社化することが可能となります。しかし、JT以外のNBの普通株式の株主にとっては、その保有するNBの普通株式の流通性が失われることとなり、価値も著しく毀損することとなります。
JTは、両社が抱えるこうした課題を根本的に解消し、両社のステークホルダーの利益に資するものと考えて、本株式交換の案を2021年11月8日にNBへ提案いたしました。
NBは、本株式交換によりJTの完全子会社となることから上場廃止となりますが、本株式交換はJT以外のNBの株主に対して上場株式であるJTの株式が交付されるものであり、NBの株主の流通性を損なうものではないこと、また、新規上場審査基準に準じた基準に適合しているかどうかの審査を受けるための手続きが進まない現状、加えて会計監査人との協議状況を鑑みて、本株式交換を実施することがNBの株主の利益に資するものであると考え、JTからの本株式交換の提案に応じることといたしました。
なお、親和性の高い金融事業や投資事業等を営むJTの完全子会社となることで、主に国内投融資における連携が強化され、また、NBは持株会社体制を維持する必要がなくなることで、NBが掲げる6つの事業領域の成長戦略に専念することが可能となります。さらに、NBが非上場会社となることで、持株会社として重複するコストを抑えつつ、上場廃止により削減される上場維持管理コストや人的リソースを効果的に再配分し、株価の短期的な動向にとらわれず、自由度の高い中長期的な視点での経営戦略を実現できる体制を構築することが可能となります。
なお、下記イメージ図は、NBグループがJTグループ傘下となった場合のNBグループが担う事業領域を示したものであります。
2.本株式交換の概要
(1)本株式交換の日程
① 本株式交換契約締結の取締役会決議日(両社) 2022年1月12日
② 本株式交換契約締結日(両社) 2022年1月12日
③ 定時株主総会開催日(NB) 2022年3月15日(予定)
④ 最終売買日(NB) 2022年3月29日(予定)
⑤ 上場廃止日(NB) 2022年3月30日(予定)
⑥ 本株式交換の効力発生日 2022年4月1日(予定)
(注)本株式交換の日程は、本株式交換の手続き進行上の理由その他の事由により必要があるときは、両社間で協議し合意の上、変更されることがあります。
(2)本株式交換の方法
JTを株式交換完全親会社、NBを株式交換完全子会社とする株式交換となります。本株式交換は、JTについては会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続により株主総会の承認を得ずに、NBについては2022年3月15日開催予定の定時株主総会において本株式交換契約の承認を受けた上で、2022年4月1日を効力発生日として行う予定です。
(3)本株式交換に係る割当ての内容
|
JT
(株式交換完全親会社) |
NB
(株式交換完全子会社) |
①本株式交換にかかるNBの普通株式に対する割当比率 |
1 |
0.20 |
②本株式交換にかかるNBのA種優先株式に対する割当比率 |
1 |
20 |
③本株式交換により交付する株式数 |
JTの普通株式:10,867,860株 |
(注1)株式の割当比率:NBの普通株式1株に対してJTの普通株式0.20株を、NBのA種優先株式1株に対してJTの普通株式20株を、それぞれ割当て交付いたします。ただし、JTが保有するNBの普通株式9,500,000株及びA種優先株式1,463,702株(2021年12月31日現在)については、本株式交換による株式の割当は行いません。
なお、上記株式交換比率は、算定の根拠となる諸条件に重大な変更が生じた場合、両社協議の上、変更することがあります。
(注2)本株式交換により交付するJTの株式数
JTは、本株式交換によりJTがNBの発行済普通株式及びA種優先株式(ただし、JTが保有するNBの普通株式及びA種優先株式を除きます。なお、現在、NBのA種優先株式の株主はNB(自己株式)及びJTのみでありますので、その場合、NBのA種優先株式に代わりJTの普通株式が交付されることはありません。)の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」といいます。)におけるNBの株主の皆様(ただし、下記の自己株式の消却が行われた後の株主をいうものとし、JTを除きます。)に対し、NBの普通株式に代わり、株主の皆様が所有するNBの普通株式数の合計に0.20を乗じて得られる数のJTの普通株式を交付する予定です。また、本株式交換によりJTが交付する株式は、全て新たにJTの普通株式を発行することにより対応する予定です。
なお、NBは、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する取締役会の決議により、基準時において有する全てのA種優先株式自己株式(2021年12月31日現在:237,086株)(本株式交換に関して行使される会社法第785条に基づく反対株主の株式買取請求に応じて取得する自己株式を含みます。)を消却する予定です。
また、本株式交換により交付する株式数は、NBのA種優先株式自己株式の消却等の理由により、今後修正される可能性があります。
(注3)単元未満株式の取扱い
本株式交換に伴い、JTの単元未満株式(100株未満の株式)を所有することとなるNBの株主の皆様においては、JTの単元未満株式に関する以下の制度をご利用いただくことができます。具体的な手続きにつきましては、後日JTよりご案内いたします。なお、単元未満株式は金融商品取引所市場において売却することはできません。
ア.単元未満株式の買増し制度(1単元への買増し)
会社法第194条第1項の規定に基づき、保有単元未満株式の数と併せて1単元株式数(100株)となる数の株式をJTから買増すことができる制度です。なお、JTは買増しに対応可能な自己株式9,599,226株(2021年12月31現在)を保有しております。
イ.単元未満株式の買取り制度(1単元未満株式の売却)
会社法第192条第1項の規定に基づき、JTの単元未満株式を所有する株主の皆様が、JTに対し、所有されている単元未満株式の買取りを請求することができる制度です。
(注4)1株に満たない端数の取扱い
本株式交換に伴い、JTの普通株式1株に満たない端数の交付を受けることとなる株主の皆様においては、会社法第234条その他の関連法令の定めに従い、その端数の合計数(その合計数に1に満たない端数がある場合は切り捨てるものとします。)に相当するJTの普通株式を売却し、かかる売却代金をその端数に応じて当該株主の皆様に交付いたします。具体的な手続きにつきましては、後日JTよりご案内いたします。
(注5)NB発行のA種優先株式の概要は以下のとおりです。
(1)発行株式数 |
1,700,788株
(普通株式の潜在株式数:170,078,800 株) |
(2)割当先 |
Jトラスト株式会社 1,699,140 株
西京リース株式会社(注) 1,648 株 |
(3)転換価格 |
127円(普通株式1株の転換価格)
(A種優先株式1株につき普通株式 100株へ転換) |
(4)転換済株式数
(2021年12月31日現在) |
Jトラスト株式会社 235,438 株(残数:1,463,702株)
西京リース株式会社(注) 1,648 株(残数:0株)
※転換済となったA種優先株式237,086株は、NBのA種優先株式自己株式に振り替わりとなっていますので、後日消却予定です。 |
(5)議決権 |
A種優先株式を有する株主(以下、「A種優先株主」といいます。)は、株主総会において議決権を有しない。 |
(6)その他 |
<配当金>
NBは、NB定款第37条に定める剰余金の配当を行うときは、当該剰余金の配当に係る基準日(以下、「配当基準日」といいます。)の最終の株主名簿に記載または記録されたA種優先株主に対して、配当基準日の最終の株主名簿に記載または記録された普通株式を有する株主(以下、「普通株主」といいます。)と同順位にて、A種優先株式1株につき、以下の算式により算出される額の剰余金の配当を行う。またNB定款第38条に定める中間配当を行うときも同様とする配当を行う。
配当すべき剰余金の額 |
= |
普通株式1株あたりの配当額 |
× |
A種優先株式1株あたりの払込金額 |
当該配当実施時点における転換価額 |
<転換請求権の行使制限>
NBの取締役会の承認なくして、転換請求を行った後にA種優先株式の株主が保有することとなる普通株式の議決権割合が 15%以上となる転換請求を行うことはできない。当該承認なく転換請求が行われた場合は、上記の議決権割合を超過することとなる部分に係る転換請求は無効とする。
<譲渡制限>
A種優先株式を譲渡により取得するには、NBの取締役会の承認を受けなければならない。当該承認なくしてA種優先株式が譲渡された場合、当該譲渡されたA種優先株式の転換請求権は失効するものとする。
<担保制限>
A種優先株式を担保に供するには、NBの取締役会の承認を受けなければならない。当該取締役会の承認なくして担保に供されたA種優先株式の転換請求権は失効するものとする。
<残余財産の分配>
NBは、残余財産を分配するときは、A種優先株主に対して、普通株主に先立ち、A種優先株式1株につきA種優先株式1株当たりの払込金額相当額の金銭を支払う。また、分配後にもなお残余財産があるときは、A種優先株主に対して、普通株主と同順位にて、A種優先株式1株につき、以下の算式により算出される額の金銭を支払う。
分配すべき残余財産の額 |
= |
普通株式1株あたりの分配額 |
× |
A種優先株式1株あたりの払込金額 |
当該分配実施時点における転換価額 |
|
(注)現在の商号は、株式会社エスファイナンスであります。
(4)本株式交換に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
NBが発行している下記の新株予約権については、各発行要項に基づきNBが取得し、その後、消却する予定です。
・第12回新株予約権(2017年6月28日発行)
・第14回新株予約権(2018年6月25日発行)
・第16回新株予約権(2019年6月13日発行)
・第17回新株予約権(2019年6月13日発行)
なお、第15回新株予約権(2019年4月26日発行)については、発行要項に基づき、残存する新株予約権の全部を新株予約権1個につき、新株予約権1個当たりの払込価額と同額でNBが取得し、その後、消却する予定です。
また、NBは、新株予約権付社債を発行しておりません。
3.本株式交換に係る割当ての内容の根拠
(1)割当ての内容の根拠及び理由
両社は、株式交換比率(以下、「本株式交換比率」といいます。)の算定に際して、公正性・妥当性を確保するため、各々から独立した第三者算定機関を選定し、JTは、株式会社赤坂国際会計(以下、「赤坂国際会計」といいます。)、NBは、南青山FAS株式会社(以下、「南青山FAS」といいます。)に算定を依頼いたしました。
両社は、各々が選定した第三者算定機関から提出を受けた株式価値の算定結果を参考に、慎重に協議を重ねた結果、NBの普通株式1株に対して、JTの普通株式0.20株を割当てることと決定いたしました。
(2)算定に関する概要
① 算定機関の名称ならびに当社及び相手会社との関係
JTの第三者算定機関である赤坂国際会計及びNBの第三者算定機関である南青山FASはいずれも、両社から独立した第三者算定機関であり、両社の関連当事者には該当せず、本株式交換に関して記載すべき重要な利害関係を有しません。
② 算定の概要
赤坂国際会計は、両社の株式が金融商品取引市場に上場しており、それぞれ市場株価が存在することから市場株価平均法(算定基準日である2022年1月11日を基準日として、算定基準日の株価終値、算定基準日以前の1か月間、3か月間及び6か月間の株価終値の平均値を採用しております。)を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」といいます。)を用いて算定を行いました。
赤坂国際会計は、事業継続を前提とした場合の価値算定を行う上で適切な手法の一つであると考えられることから、事業の将来のキャッシュフロー(収益力)に基づく算定方法であるDCF法を採用しております。本件対象会社のような金融業の株式評価にあたっては、有利子負債が運転資本の一部を構成するという金融業の特徴を反映するために、株主のみに帰属するキャッシュフロー(FCFE)に基づき評価するエクイティDCF法を用いることが一般的であることから、その手法を採用しております。
なお、A種優先株式につきましては、A種優先株主がいつでも転換権を行使して、容易に市場価格のある普通株式として転換できること、償還請求権等が定められておらずA種優先株主が株価に関わらず転換価額で普通株式へ転換することが想定されることから、下記の点より、優先株式というよりは、普通株式と同様の性質であると判断できるため、普通株式としての評価(完全希薄化前提での評価)を実施しております。
各評価方法による、NBの株式1株に対するJTの普通株式の割当株数の範囲に関する算定結果は、以下のとおりです。
算定方法 |
株式交換比率の算定結果 |
普通株式 |
A種優先株式 |
市場株価平均法 |
0.19 ~ 0.28 |
19.12 ~ 27.66 |
DCF法 |
0.17 ~ 0.40 |
17.21 ~ 39.90 |
赤坂国際会計は、上記株式交換比率の算定に際して、両社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を採用し、採用したそれらの資料及びそれらの情報等が全て正確かつ完全なものであること、株式交換比率の算定に重大な影響を与える可能性がある事実で赤坂国際会計に未開示の事実はないことを前提とし、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていません。また、両社のDCF法による評価の前提条件は以下のとおりです。
(ⅰ)JT株式の算定方法
・評価基準日は2022年1月11日としている。
・割引率は株主資本コストを採用している。
・残存価値の算出方法は、企業継続を前提とし、永久成長法を採用し、永久成長率は△1.0%から1.0%としている。
(ⅱ)JTの将来予想収益
・事業計画は、2021年12月期から2023年12月期までの3期間である。
・赤坂国際会計がDCF法による算定の前提としたJTの将来の連結財務予測には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度を含む。具体的には、2021年12月期においては投資事業においてJT子会社が提起していた訴訟に係る勝訴判決の履行を受けたことなどから、2022年12月期の親会社の所有者に帰属する当期利益については前年同期より減少して12億円(前年同期は20億円の親会社の所有者に帰属する当期利益)と見込み、2023年12月期の親会社の所有者に帰属する当期利益については、東南アジア金融事業の業績改善などにより、前年同期より増加して33億円(前年同期は12億円の親会社の所有者に帰属する当期利益)と見込んでいる。
(ⅲ)NB株式の算定方法
・評価基準日は2022年1月11日としている。
・割引率は株主資本コストを採用している。
・残存価値の算出方法は、企業継続を前提とし、永久成長法を採用し、永久成長率は△1.0%から1.0%としている。
(ⅳ)NBの将来予想収益
・事業計画は、2021年12月期から2023年12月期までの3期間である。
・赤坂国際会計がDCF法による算定の前提としたNBの将来の連結財務予測には、大幅な増益を見込んでいる事業年度を含む。具体的には、韓国銀行子会社の事業の成長などから、2023年12月期の親会社株主に帰属する当期純利益については36億円(前年同期は27億円の親会社株主に帰属する当期純利益)と見込んでいる。
なお、赤坂国際会計は、資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)については、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて、両社から提出された財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)に関する情報については、両社より当該時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
なお、両社の財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。
南青山FASは、両社の株式が金融商品取引市場に上場しており、それぞれ市場株価が存在することから市場株価法(算定基準日である2022年1月11日を基準日として、算定基準日の株価終値、算定基準日以前の1か月間、3か月間及び6か月間の株価終値の平均値を採用しております。)を、また将来の事業活動等の状況を評価に反映するため、配当割引モデル方式(以下、「DDM法」といい、DDM法は、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー方式の一手法であり、両社が事業運営上必要と考えられる自己資本を留保した上で、その留保額を上回る部分は株主に配当可能であるとみなして株主に帰属する価値を算出する手法)を採用して算定を行いました。
JTグループ及びNBグループは金融機関を保有し、自己資本比率規制により株主に対し規制資本を超える配当を実施できないため、配当可能利益を株主に帰属するキャッシュ・フローとする金融機関の評価に採用される手法の一つであるDDM法を採用しております。
なお、NB発行のA種優先株式につきましては、いつでも転換権を行使し、容易に市場価格のある普通株式として転換でき、下記の点からも普通株式と同様の性質であると判断できるため、普通株式としての評価(完全希薄化前提での評価)を実施しております。当初の転換価額がNBの現在の市場株価を上回っておりますが、これはA種優先株式の発行要項上、転換価額の調整を行う合理的な事由に該当しないため、算出において当該事象は考慮しておりません。
・転換請求期間の定めが無く、償還請求権も無いため、債券というよりは株式の性質に近い。
・優先配当は普通株主と同順位であり、配当の条件は、普通株式と同様である。
・残余財産の優先分配及び自己資本比率は、銀行業の業種平均と比較しても十分な水準であり、事業の継続性に懸念を及ぼす事象も無く、今後も平均以上に維持される見込であることから、デフォルトリスクが低く、株式の価値は安定的であるため、普通株式と同様と考えられる。
両社のDDM法による評価の概要は以下のとおりです。
(南青山FASによる JTのDDM法による評価)
JTの事業計画(2021年12月期~2023年12月期)を基に算定し、当該事業計画は、本株式交換のために作成したものではなく、既に作成済であった事業計画を採用しています。純資産余力増減額を配当可能利益と見做し、一定の割引率で現在価値に還元することにより価値を算定し、割引率は8.0%~10.0%、永久成長率は0%、必要純資産額比率は11.2%~13.2%を採用しております。
なお、JTの事業計画における大幅な増減益を見込んでいる点としましては、2021年12月期に投資事業においてJT子会社が提起していた訴訟に係る勝訴判決の履行を受けたことなどから、2022年12月期の親会社の所有者に帰属する当期利益については前年同期より減少して12億円(前年同期は20億円)と見込み、2023年12月期は東南アジア金融事業の業績改善などにより、営業利益54億円(前年同期は26億円)、当期純利益39億円(前年同期は13億円)と見込んでおります。
(南青山FASによるNBのDDM法による評価)
NBの事業計画(2021年12月期~2023年12月期)を基に算定し、当該事業計画は、本株式交換のために作成したものではなく、既に作成済であった事業計画を採用し、営業収益、営業利益は開示済の数値から変更はしておりません。
結果、純資産余力増減額を配当可能利益と見做し、一定の割引率で現在価値に還元することにより価値を算定し、割引率は11.3%~13.3%、永久成長率は0%、必要純資産額比率は12.2%~14.2%を採用しております。
なお、NBの事業計画における大幅な増減益を見込んでいる点としましては、韓国銀行子会社の事業成長などにより、2023年12月期の営業利益50億円(前年同期は37億円)、当期純利益については36億円(前年同期は27億円)を見込んでおります。
各評価方法による、NBの株式1株に対するJTの普通株式の割当株数の範囲に関する算定結果は、以下のとおりです。
算定方法 |
株式交換比率の算定結果 |
普通株式 |
A種優先株式 |
市場株価法 |
0.19~0.28 |
19~28 |
DDM法 |
0.18~0.43 |
18~43 |
南青山FASは、上記株式交換比率の算定に際して、両社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を採用し、採用したそれらの資料及びそれらの情報等が全て正確かつ完全なものであること、株式交換比率の算定に重大な影響を与える可能性がある事実で南青山FASに未開示の事実はないことを前提とし、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っていません。
なお、南青山FASは、両社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)については、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。
以上の算定結果を踏まえ、両社は本株式交換比率について検討し、交渉を行った結果、上記「(1)割当ての内容の根拠及び理由」に記載のとおり、NBの普通株式1株に対して、JTの普通株式0.20株を、NBのA種優先株式1株に対してJTの普通株式20株を、それぞれ割当てることを決定いたしました。本株式交換比率は、算定結果の範囲内であります。
(3)上場廃止となる見込み及びその理由
本株式交換により、その効力発生日である2022年4月1日(予定)をもって、JTはNBの完全親会社になり、NBは東京証券取引所JASDAQの上場廃止基準に従い、所定の手続を経て2022年3月30日に上場廃止(最終売買日は2022年3月29日)となる予定です。上場廃止後は、東京証券取引所においてNBの普通株式を取引することはできなくなります。
NBの普通株式が上場廃止となった後も、本株式交換によりNBの株主の皆様(ただし、JTを除きます。)に割り当てられるJTの普通株式は、東京証券取引所に上場されており、本株式交換の効力発生日以後も金融商品取引所市場での取引が可能であることから、NBの普通株式を500株以上所有し、本株式交換によりJTの単元株式数である100株以上のJTの普通株式の割当てを受けるNBの株主の皆様に対しては、株式の保有数に応じて一部単元未満株式の割当てを受ける可能性はあるものの、1単元以上の株式について引き続き金融商品取引所市場において取引が可能であり、株式の流動性を提供できるものと考えております。
他方、500株未満のNBの普通株式を所有する約5,000名のNBの株主の皆様においては、本株式交換によりJTの単元株式数である100株に満たないJTの普通株式が割り当てられます。これらの単元未満株式については、上記金融商品取引所市場において売却することはできませんが、株主の皆様のご希望により、単元未満株式の買増し制度若しくは買取り制度をご利用いただくことが可能です。かかる取扱いの詳細については、上記2.(3)「本株式交換に係る割当ての内容」(注3)「単元未満株式の取扱い」をご参照ください。
また、本株式交換に伴い、割当てを受けるJTの普通株式の数に1株に満たない端数が生じる場合の取扱いの詳細については、上記2.(3)「本株式交換に係る割当ての内容」(注4)「1株に満たない端数の取扱い」をご参照ください。なお、NBの株主の皆様は、最終売買日である2022年3月29日までは、東京証券取引所において、その所有するNBの普通株式を従来どおり取引することができます。
(4)公正性を担保するための措置
JTは、14.88%(2021年12月31日現在)のNB普通株式を保有する主要株主である筆頭株主であり、NBが発行するA種優先株式の株主であることから、両社は、本株式交換の公正性を担保する必要があると判断し、以下のとおり公正性を担保するための措置を実施しております。
① 独立した第三者算定機関からの算定書の取得
JTは、独立した第三者算定機関である赤坂国際会計を選定し、2022年1月11日付で株式交換比率に関する算定書を取得いたしました。算定書の概要については、上記3「本株式交換に係る割当ての内容の根拠」の(2)算定に関する概要の②「算定の概要」をご参照ください。
一方、NBは、独立した第三者算定機関である南青山FASを選定し、2022年1月11日付で株式交換比率に関する算定書を取得いたしました。算定書の概要については、上記3「本株式交換に係る割当ての内容の根拠」の(2)算定に関する概要の②「算定の概要」をご参照ください。
なお、両社は、いずれも、それぞれの第三者算定機関から本株式交換比率が財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
② 独立した法律事務所からの助言
NBは、リーガル・アドバイザーとして、TMI総合法律事務所を選定し、本株式交換の諸手続を含む取締役会の意見決定の方法・過程等について法的助言を受けております。
なお、TMI総合法律事務所は、両社から独立しており、両社との間に重要な利害関係を有しません。
(5)利益相反を回避するための措置
JTは、NBの筆頭株主であり、NBの代表取締役社長である江口譲二氏はJTの元代表取締役社長であることから、利益相反を回避するため、以下の措置を実施しております。
①NBにおける利害関係を有しない独立委員会からの答申書の取得
NBは、2021年11月16日、本株式交換に係るNBの意思決定に慎重を期し、また、NB取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保するとともに、当該取締役会において本株式交換を行う旨の決定をすることがNBの少数株主にとって不利益なものでないことを確認することを目的として、独立委員会(以下、「本独立委員会」といいます。)を設置することを決議しました。
なお、本独立委員会の構成は、JTと利害関係を有しておらず、NBの社外取締役であり東京証券取引所に独立役員として届け出ている大橋俊明氏(弁護士)及び水上慶太氏(公認会計士)、NBの社外監査役であり東京証券取引所に独立役員として届け出ている三上嗣夫氏及び吉田桂公氏(弁護士)、NBの社外監査役である水野泰輔氏(公認会計士)、両社と利害関係を有しておらずM&Aアドバイザリー業務に従事し本株式交換の検討を行う専門性・適格性を有すると判断される独立した外部の有識者である戸澤晃広氏(T&K法律事務所 弁護士)の6名といたしました。
本株式交換を検討するに当たって、本独立委員会に対し、(ⅰ)本株式交換の目的の合理性があるか否か(本株式交換がNBの企業価値の向上に資するかを含む)、(ⅱ)本株式交換の手続が公正であるか否か、(ⅲ)本株式交換の株式交換比率その他の条件が妥当であるか否か(以下、(ⅰ)乃至(ⅲ)を総称して「本諮問事項」といいます。)、について諮問いたしました。
本独立委員会は、2021年12月9日から2022年1月6日までに、会合を合計6回開催したほか、情報収集を行い、必要に応じて随時協議を行う等をして本諮問事項に関し慎重に検討を行いました。
具体的には、まず、NBから、本株式交換の目的、本株式交換に至る背景・経緯、株式交換比率の算定の前提となるNBの財務予測の作成手続及び内容、本株式交換の検討体制・意思決定方法等について説明を受けたほか、JTに対して本株式交換の目的等に関する質問状を送付した上で、JTから、本株式交換の目的、本株式交換に至る背景・経緯、株式交換を選択した理由、本株式交換後の経営方針や従業員の取扱い等について説明を受け、質疑応答を行いました。
また、NBがリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所にJTに対する法務デュー・ディリジェンスの実施、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、「EYSC」といいます。)にJTに対する財務デュー・ディリジェンスの実施を依頼し、本独立委員会はその結果を入手した上で、NBの第三者算定機関の南青山FASから株式交換比率の算定方法及び算定結果の説明を受け、質疑応答を行いました。
なお、本独立委員会は、両社との間における本株式交換に係る協議・交渉の経緯及び内容につき適時に報告を受けた上で、本株式交換比率についての方針等について協議を行い、NBに意見する等をしてJTとの交渉過程に実質的に関与しております。
NBは、本独立委員会から、2022年1月11日付で、以下のとおりの答申書を受領しました。
(ⅰ)本株式交換の目的の合理性があるか否か(本株式交換がNBの企業価値の向上に資するかを含む)
現状、NBにおいて上場維持につき懸念すべき事態が生じており、NBの独力による回避が困難な状況にあると認められる。この点について、上場廃止によりNB株式の流通性が失われ、株式価値が毀損されるリスクを考慮する必要があるところ、これを避けるために、本株式交換を行うというNBの説明については、本株式交換によりそのようなリスクが回避できることが認められる一方で、特にこれに反する事実や事象の存在は認められず、不合理とはいえないと考えられる。
また、2020年株式交換の際、NBは大量の種類株式の発行に関し、Jトラストからの経営の独立性が維持できる旨述べ、JTはNBをグループ傘下とすることは意図していない旨述べたにも関わらず、結果として、1年余り後にJTの子会社となる株式交換を実施するという方針の転換がなされている。この点につき、上場維持についての懸念が生じたことによるものであり、本株式交換の目的の合理性に疑義を生じさせるものではないと考えられる。
以上により、本株式交換がNBの事業及び収益性に与える影響の有無・程度については、着想段階であり、本委員会に計画が提示されなかったため、これを評価・判断することは、本答申書作成時点では困難であるものの、株式価値が毀損するリスクを抱えるよりも、本株式交換によって当該リスクを回避する方が、より株主(特に少数株主)保護に資するとの判断に妥当性はあるといえる。よって、本株式交換の目的は、株式価値が毀損されるリスクを回避するという点において合理的であると認められる。
(ⅱ)本株式交換の手続が公正であるか否か
2021年11月8日、NBはJTより、本株式交換の提案を受け、同年11月16日のNB取締役会において、独立委員会の設置及び独立委員会を社外取締役、社外監査役の計5名と外部の弁護士1名で構成することを決議した。その後、NBは、独立した外部の弁護士である委員候補を検討の上、2021年11月25日のNB取締役会において、弁護士戸澤晃広を選任することを決議している。以上より、NBは、本株式交換の提案を受けたのち、可及的速やかに独立委員会の設置につき協議し、決定しており、株式交換比率を含む本株式交換の条件に係る具体的な交渉に入る以前より本委員会が設置されているものと認められる。
本委員会を構成する各委員は、JT及び本株式交換から独立しており、これらに利害関係を有していないことが認められる。また、本委員会は、NBが選任したリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所及び第三者算定機関である南青山FASにつき、いずれもJT及び本株式交換からの独立性に問題がないことを確認した上で、本株式交換の是非や株式交換比率その他の条件の妥当性、手続の公正性につき検討を行っている。また、JTとの交渉自体は、NBの担当役員が行うものの、本委員会は、交渉について事前にNBの方針を確認するとともに、適時に交渉状況の報告を受け、交渉方針・交渉方法について具体的な意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与え得る状況が確保されており、また、JTとの株式交換比率に関する交渉方針として、一般株主にとってできる限り有利な条件を引き出すための具体的な助言をNBの担当役員に対し適時行い、その結果、実際に交換比率が引き上げられるに至った。
NBは、独立したリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言等を受けている他、独立した第三者算定機関である南青山FASから株式交換比率算定書を取得し、かつJTを対象会社としたTMI総合法律事務所による法務デュー・ディリジェンス及び独立した財務アドバイザーであるEYSCによる財務デュー・ディリジェンスを行うなど、本株式交換の条件の妥当性及び一連の手続の公正性等について慎重に検討及び協議を行っている。
元JT役員であるNB代表取締役江口譲二氏は、本株式交換に関する取締役会の審議及びJTとの協議交渉に関するNB内の検討体制から除外されており、本株式交換に係る協議、検討及び交渉の過程で、本株式交換に特別な利害関係を有する者がNB側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。
本株式交換に係る公表においては、本委員会に関する情報、株式交換比率の算定結果の内容に関する情報、本株式交換の経緯・目的に関する情報について、それぞれ一定の開示が予定されており、一般株主による取引条件等についての妥当性等の判断のために相当な情報が開示される予定であることが認められる。
以上の経緯、検討手法等に照らすと、適切な公正性担保措置が講じられており、本株式交換の検討過程における手続の公正性が認められる。
(ⅲ)本株式交換の株式交換比率その他の条件が妥当であるか否か
(a)交渉経緯
NBは、本委員会から受けた交渉方針に係る意見を踏まえ、南青山FASの株式交換比率算定報告書のドラフトを基に、2021年12月15日以降、JTとの間で緊密に連絡をとり、上記の公正な手続に則った上で、実質的な協議・交渉を行っている。
具体的には、JTから提示された市場価格をベースとした株式交換比率に対し、上場廃止という結果を伴うこと及び2020年株式交換時からの状況変化により方針の転換がされたことにつき一般株主の理解を得る必要性等を強調するなどの観点から、真摯な交渉を行っており、その結果、株式交換比率を含む本株式交換の条件が決定されたものである。
(b) 株式交換比率算定報告書の妥当性について
南青山FASは、両社について、いずれの普通株式についても、金融商品取引市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、また、いずれも金融機関であることから、自己資本比率規制がある金融機関の評価に広く用いられるDDM法を採用したとのことである。他方、類似会社比較法についてリスク及び成長性を適切に反映できる類似上場会社の選定が困難であるため、採用せず、純資産法については、事業の継続を前提としているため、採用していないとのことであった。これらの判断について、現在の実務に照らして不合理な点は見受けられない。
(c) 株式交換比率の妥当性について
株式交換比率は、南青山FASによる株式交換比率の算定結果のうち、市場株価法の算定レンジの算定基準日時点(2022年1月11日の終値)の数値を上回っている。他方、DDM法の算定レンジに関しては、その中央値を下回っているものの、レンジの範囲内には含まれている。この点、南青山FASから受けた当該算定結果に係る説明を踏まえると、算定手法の選択や各算定手法による算定過程に特段不合理な点は見当たらない。
また、本委員会は、インタビューを通じて、DDM法による算定の基礎とされたNBの事業計画の策定過程・内容を確認したところ、2020年2月24日に策定した中期経営計画(2021年10月19日付「事業計画及び成長可能性に関する事項」内で言及されている変更を含む。)をベースとしたものであり、株主交換比率が不合理に低く算定されるような前提を置いているなどの不合理な点は見当たらない。
さらに、NBにおいて上場維持につき懸念すべき事態が生じているものと認められ、本株式交換は通常の株式交換事例と比較してプレミアムが高くなりにくいケースと言い得るところ、上記のとおり市場株価法において算定基準日時点の市場における終値を上回っていること、及びDDM法の算定レンジの幅には含まれていることからすると、プレミアムの幅が一般的な水準に比して低くても、それのみで本株式交換比率の合理性が否定されるものではないと考えられる。
以上より、南青山FASによる算定結果には合理性が認められるところ、本株式交換における株式交換比率は、当該算定結果に照らして合理的な水準にあると評価できる。
(d) 本株式交換に係るスキームの妥当性
本株式交換では、NBの株主に対して、JT株式を割当交付するものであるところ、JT株式の流通性はNB株式と比して高いため、当該株主等は市場での売却、あるいは、単元未満株式の買い取り制度の利用により、現金化することも可能となることは、特にNBの上場維持に関する見通しが不透明な状況において、NBの株主にメリットのある手法であると評価できる。以上を考慮すると本株式交換の株式交換比率その他の条件には妥当性が確保されているものと認められる。
② NBにおける利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
本株式交換に関する議案を決議した本日開催のNB取締役会においては、NBの取締役5名のうち、江口譲二氏はJTの元代表取締役社長であるため、利益相反を回避する観点から、同氏を除く他の4名の取締役により審議の上、その全員の賛成により本株式交換の実施を決議しております。なお、江口譲二氏は、NBの立場で本株式交換に係る協議・交渉に参加しておりません。
また、上記の取締役会においては、NBの監査役3名(うち社外監査役3名)の全員が出席し、その全員が本株式交換を行うことにつき異議がない旨の意見を述べております。
4.本株式交換当事会社の概要(2021年12月31日現在)
|
株式交換完全親会社 |
株式交換完全子会社 |
①名称 |
Jトラスト株式会社 |
Nexus Bank株式会社 |
②本店所在地 |
東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 |
東京都港区赤坂1丁目7番1号 |
③代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 藤澤 信義 |
代表取締役社長 江口 譲二 |
④事業内容 |
ホールディング業務 |
ホールディング業務及び投資業務 |
⑤資本金の額 |
90百万円 |
414百万円 |
⑥設立年月日 |
1977年3月18日 |
1996年2月6日 |
⑦発行済株式数 |
普通株式 115,469,910株 |
普通株式 63,839,300株 |
⑧決算期 |
12月 |
12月 |
⑨従業員数(2021年9月末現在) |
2,464名(連結) |
541名(連結) |
⑩主要取引先 |
持株会社であり、該当事項はありません。 |
株式会社VT Entertainment |
⑪主要取引銀行 |
みずほ銀行
三井住友銀行
大垣共立銀行 |
三菱UFJ銀行
きらぼし銀行
ハナ銀行 |
⑫大株主及び議決権比率 |
NLHD株式会社 30.13%
藤澤 信義 10.30%
KOREA SECURITIES DEPOSITORY-SHINHAN INVESTMENT 9.34%
株式会社エスファイナンス 2.73%
松井証券株式会社 2.69%
ジャパンポケット株式会社 2.14%
楽天証券株式会社 1.84% |
Jトラスト株式会社 14.88%
株式会社オータス 14.72%
寺井 和彦 5.35%
NLHD株式会社 1.72%
株式会社SBI証券 1.64%
松井証券株式会社 1.55%
日本証券金融株式会社 1.22% |
⑬当事会社間の関係 |
資本関係 |
NBのA種優先株式1,463,702株、普通株式9,500,000株、新株予約権164,200個を保有しております。 |
JTは、NBのA種優先株式1,463,702株、普通株式9,500,000株、新株予約権164,200個を保有しております。 |
人的関係 |
該当事項はありません。 |
JTの従業員2名がNBに出向しております。 |
取引関係 |
該当事項はありません。 |
該当事項はありません。 |
関連当事者への該当状況 |
NBの主要株主である筆頭株主であります。 |
JTは、NBの主要株主である筆頭株主であります。 |
⑭最近3年間の経営成績及び財政状態 (単位:百万円) |
|
JT(連結) |
NB(連結) |
決算期 |
2019年
3月期 |
2019年
12月期 |
2020年
12月期 |
2019年
1月期 |
2019年
12月期 |
2020年
12月期 |
純資産 |
104,173 |
99,977 |
91,599 |
2,209 |
2,123 |
24,178 |
総資産 |
668,377 |
731,384 |
530,462 |
2,704 |
3,006 |
212,366 |
1株当たり
純資産(円) |
983.96 |
944.33 |
865.20 |
63.04 |
59.07 |
21.29 |
営業収益 |
74,935 |
24,728 |
39,387 |
530 |
827 |
3,874 |
営業利益 |
△32,600 |
△5,130 |
△2,403 |
△245 |
△270 |
375 |
経常利益 |
△31,135 |
△5,526 |
△619 |
△247 |
△248 |
358 |
親会社の所有者に帰属する当期利益又は親会社株主に帰属する
当期純利益 |
△36,107 |
△3,260 |
△5,342 |
△574 |
△303 |
△82 |
1株当たり
当期純利益(円) |
△349.70 |
△30.80 |
△50.46 |
△17.19 |
△8.68 |
△1.61 |
1株当たり
配当金(円) |
7.00 |
1.00 |
- |
- |
- |
- |
(注1)JTは国際財務報告基準に、NBは日本基準に基づいて、連結財務諸表を作成しております。
(注2)JTはNBの筆頭株主であり、NBの第4位株主であるNLHD株式会社はJTの代表取締役社長である藤澤信義氏が100%出資している会社であります。
(注3)NBの大株主の持株比率は、NB発行の議決権を有する普通株式のみの割合となっております。
(注4)JTの2019年12月期は、決算期変更のため2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間となっております。
(注5)NBの2019年12月期は、決算期変更のため2019年2月1日から2019年12月31日までの11ヶ月間となっております。
(注6)JTの「経常利益」欄には、税引前利益の金額を記載しております。
5.本株式交換後の状況
|
株式交換完全親会社 |
名称 |
Jトラスト株式会社 |
② 本店所在地 |
東京都港区虎ノ門一丁目7番12号 |
③ 代表者の役職・氏名 |
代表取締役社長 藤澤 信義 |
④ 事業内容 |
ホールディング業務 |
⑤ 資本金の額 |
90百万円 |
⑥ 決算期 |
12月 |
⑦ 純資産 |
現時点では確定しておりません。 |
⑧ 総資産 |
現時点では確定しておりません。 |
(注1)現時点で、両社間での役員招聘は予定しておりません。
(注2)本株式交換後のJTの純資産及び総資産については現時点では確定しておりません。
6.会計処理の概要
本株式交換は、国際財務報告基準(IFRS)第3号 企業結合により、取得法にて会計処理を行います。なお、本株式交換に伴い、JTの連結財務諸表上、のれん(又は負ののれん)が発生する見込みですが、発生するのれん(又は負ののれん)の金額については、現段階では未定であります。
7.今後の見通し
本株式交換が、JTの連結業績に与える影響額につきましては、現在精査中であり、確定次第お知らせいたします。なお、NBの2021年12月期の連結業績に与える影響額は軽微であります。
8.支配株主との取引等に関する事項
該当事項はありません。
以上